裁判で証言台に立つのはどんな時? 被告人質問、証人尋問、当事者尋問のそれぞれの特徴。

 裁判で証言台に立って、証言するシーンは、テレビドラマなどで見たことがあるかと思います。

 ちなみにテレビドラマの多くは刑事裁判を題材にしています。

 しかし、民事裁判でも証言台に立って証言することがあります。

 そこで、今回は、裁判で証言台に立つ場合について、解説します。

目次

裁判で証言台に立つ人

1 被告人(刑事裁判)

 被告人(ひこくにん)とは、犯罪を犯したと疑われて裁判にかけられている人です。

 被告人は、刑事裁判で証言台に立って(座って)、証言をすることが出来ます。

 被告人は、黙秘権があるので、宣誓をしません

 被告人には、黙秘権があるため、供述する義務はありませんので、任意に発言する機会が与えらています。被人は、答えたくないことは、特に理由なく、黙秘することが出来ます。

 任意とはいえ、被告人が、事件に関して好き勝手に話し始めると収拾がつかないので、基本的には、弁護人や検察官、裁判官からの質問に答える形式で、発言をします。

 これを、「被告人質問」(ひこくにんしつもん)と呼びます。 

根拠条文:刑事訴訟法311条
 被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
 被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。
 陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。

2 当事者(民事裁判)

 民事裁判の当事者である原告や被告も、証言台で供述することがあります。

 これを、「当事者尋問」(とうじしゃじんもん)と呼びます。

 原告と被告は、宣誓をした上で、弁護士と裁判官の質問に答えます。

 当事者尋問を、正当な理由なく、欠席したり、宣誓を拒んだり、供述を拒んだりすると、相手方の言い分が真実と認められてしまうリスクがあります。

 当事者尋問は、当事者が自分が主張したことを自由に述べる場ではありません。あくまでも、質問されたことに、答える場です。勝手な発言を延々と繰り返すと、裁判官から注意されます。

 また、虚偽(きょぎ)の事実を述べたりすると、10万円以下の過料の制裁をかされるリスクもあります。

207条(当事者本人の尋問)
 裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
 証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。

208条(不出頭等の効果)
 当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

209条(虚偽の陳述に対する過料)
 宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 第一項の場合において、虚偽の陳述をした当事者が訴訟の係属中その陳述が虚偽であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。

210条(証人尋問の規定の準用)
 第百九十五条、第二百一条第二項、第二百二条から第二百四条まで及び第二百六条の規定は、当事者本人の尋問について準用する。

211条(法定代理人の尋問)
 この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。ただし、当事者本人を尋問することを妨げない。

3 証人(刑事裁判、民事裁判)

 裁判の当事者ではない、第三者が裁判に出頭を命じられ、証言を求められることがあります。主に、事件の目撃者や、立会人、関係者など、事件の様子や状況について、見聞きしている人が証人として呼ばれることがあります。

 これを「証人尋問」(しょうにんじんもん)と呼びます。

証人は自由に発言することは出来ません

 証人は、宣誓をした上で、弁護士弁護人、裁判官、検察官から質問されたことに対し、自分の記憶に沿った事実を話します。

 証人は、あくまでも、自分の記憶している事実を話すのであって、自分の感想や評価、意見などを述べることは出来ません。

 また、弁護士や検察官から質問された事についてだけ発言することが許されており、自分の判断で、事件に関する事実を自由に発言することは出来ません。

刑事裁判でよくある情状証人とは?

 また、刑事裁判では、情状証人(じょうじょうしょうにん)として、被告人の更生をサポートする家族などが証人になることもあります。
 情状証人は、事件の真相を明らかにする目的というよりも、社会復帰後の、被告人のサポートを支援する意思を確認し、再犯の可能性がないことを目的として行われます。
 情状証人が出ることで、被告人の刑が軽くなったり、執行猶予が付きやすくなったりします。

嘘の証言をすると偽証罪で処罰されるリスクがあります

 証人は、虚偽の事実を述べると偽証罪(ぎしょうざい)という罪に問われるリスクがあります(刑法169条)。3月以上10年以下の懲役刑に課せられる可能性があり、決して軽い罪ではありません。 

刑法169条(偽証)
 法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

正当な理由なく出頭しない場合にもペナルティが課せられるリスクがあります

 また、正当な理由なく証人が出頭しない場合、刑事裁判、民事裁判いずれも、過料や罰則のペナルティがかされるリスクがあります。なお、不出頭に対する刑罰は、刑事裁判の場合の方が重いです。

民事訴訟法192条 (不出頭に対する過料等)
 証人が正当な理由なく出頭しないときは、裁判所は、決定で、これによって生じた訴訟費用の負担を命じ、かつ、十万円以下の過料に処する。
 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

民事訴訟法 193条 (不出頭に対する罰金等)
 証人が正当な理由なく出頭しないときは、十万円以下の罰金又は拘留に処する。  前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科することができる。

刑事訴訟法150条 (不出頭と過料)
 ① 召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しないときは、決定で、十万円以下の過料に処し、かつ、出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
 ② 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

刑事訴訟法151条  (不出頭と刑罰)
 証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

証言を拒むことが出来る場合がある

  証人は、証言をすることで、自分と近しい親族等が刑事責任に問われるような場合には、証言を拒むことが出来ます。これは、上記で解説しました被告人に黙秘権があることとも関連しています。

 また、医師や弁護士など一定の職に就く者は、業務上知り得た事実で守秘義務がある事柄について、証言を拒むことが出来ます。

旅費日当は請求できます

 出頭した場合、旅費・日当を請求することが出来ます。出頭を半ば強制されているのに、流石にただ働きということはありませんので、その点はご安心ください。とはいえ、満足できる金額かはひとによります。裁判所ごとに日当の額は異なります。

 なお、旅費・日当を申請しないで放棄することもできます。例えば、自分と親しい関係にある人から民事事件で証人申請を求められた場合などに放棄する人はいます。
 なぜなら、民事事件の場合、証人の旅費日当は、事件の当事者が負担することになるからです。

根拠条文:(民事裁判)民事訴訟法190条以下 (刑事裁判)刑事訴訟法143条以下

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