支払督促のやり方、メリット・デメリットについて

 支払督促(しはらいとくそく)とは、金銭その他の代替物または有価証券の一定数量の給付請求について、簡易迅速に、低額の費用で、債務名義(強制執行を可能にする効力)を得る手続です。

 すなわち、裁判するよりも、簡単に早く、安く、債権回収が出来る制度です。

 民事訴訟法382条以下で規定されています。

目次

支払督促のやり方

1 利用できる場合

 金銭の支払又は有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に限ります。

 上記以外の動産や、不動産の引き渡しの請求には使えません。

2 申立先・方法

 相手の住所地を管轄する簡易裁判所裁判所書記官書面で申し立てます。

 管轄裁判所は、裁判所のホームページで調べることが出来ます。

3 手続

 書類審査のみです。

 訴訟や調停の場合のように審理のために何度も裁判所に行く必要はありません。

 申立書式は、裁判所のホームページでダウンロードする方法、または簡易裁判所の窓口で受け取ることができます。

4 手数料

 手数料は,訴訟の場合の半額です。

5 効力

 相手方から異議がなければ、判決と同様の効力(債務名義)が発生し、強制執行できるようになります(民事訴訟396条)。

6 相手方から異議が出た場合

 債務者が支払督促に対し異議を申し立てると,請求額に応じ,地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します(民事訴訟法395条)。

 すなわち、相手方から異議があると通常の裁判をしなくてはなりません

支払督促の手続の流れ

 次に、支払督促を申し立てた後の手続きの流れについて、説明します。

 支払督促の手続を行う債権者は、以下の手順を踏むことが必要です。

支払督促手続きの流れ

 支払督促の申立
     ⇓ 相手方に書面が送達される   ⇒相手方の異議がある
     ⇓ 2週間以内に相手方の異議がない    ⇓
     ⇓                    通常の訴訟手続に移行
2 仮執行宣言付支払督促
     ⇓ 相手方に書面が送達される   ⇒相手方の異議がある
     ⇓ 2週間以内に相手方の異議がない    ⇓  
     ⇓                   通常の訴訟手続に移行                
3 確定判決と同様の効力発生 
   (債務名義取得)

 このように債権者は、1支払い督促の申立と、2仮執行宣言付支払督促の2回、簡易裁判所に対し、申立手続をする必要があります。 
 相手方の異議が2回とも出ない場合、確定判決と同じ効力(債務名義といいます)が発生します。これにより、給料や預金の差し押さえなどの強制執行をすることが出来ます。

 他方、相手方から異議が出た場合は、通常の裁判手続に移行します。

支払督促のメリット・デメリット

支払督促のメリット

 支払督促をするメリットは、通常の裁判をするよりも、簡易・迅速に低額で、強制執行できるようになる点にあります。
 期間としては、支払督促はスムーズに手続きが進めば2か月程度で終了します。他方、裁判をする場合、おおよそ半年から2年程度かかります。
 支払督促の申し立てを弁護士などの専門家に依頼する場合、裁判を依頼するよりも低額で依頼することができます。一般的相場として、おおよそ5万円から10万円の費用で依頼することが出来ます。他方、裁判を弁護士に依頼する場合、着手金20万円~と別途報酬金が発生します。
 ある程度法律の知識がある人であれば、自分で支払督促の申し立てを行うことも可能です。

支払督促のデメリット

 支払督促は、相手方から異議が出ると、通常の裁判手続に移行するため、上記に挙げたメリットは失われます.
そればかりか、最初から訴訟提起をした場合と比べて、支払督促の手続を行った分だけ、手間と時間がかかってしまうので、デメリットが大きくなります。

 従って、相手方が、請求内容について争わないことが明白な場合に利用すべき手続といえます。

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