契約の意味と契約の種類  民法に規定されている契約13種類

 皆さんは、契約って言葉を聞いたことはありますか?

 契約という言葉を普段よく使う人もいるのでは?

 実は、契約には、何種類もあるって知ってましたか?

 普段、私たちは、日常生活の中において、契約についてあまり意識せずに、多くの契約を交わしています。

 例えば、スーパーやコンビニで商品を買う行為は、法律上は、売買契約にあたります。レジでいちいち契約書を作成していませんが、口頭での売買契約が成立しているのです。

 また、友人にお土産をあげるのは、贈与契約です。漫画やテレビゲーム等を貸すのは、使用貸借契約といいます。

 民法に規定されている契約の種類は、13種類あります。

 そこで、今回は、民法で規定されている契約13種類について、簡単に解説します。

目次

 民法で規定されている契約13種類

 契約とは、当事者間の合意により、当事者間に法律上の権利義務を生じさせるものをいいます。

 典型的な契約は、民法で規定されています。

 民法で規定されている契約の種類は、以下の13種類です。

 ① 贈与(ぞうよ)

 贈与とは、当事者の一方が相手方に無償で財産を与える契約をいいます。

 ⇒おじいちゃんからもらうお年玉、友人に贈り物をあげる。

根拠条文:民法549条
 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

 ② 売買(ばいばい)

 売買とは、当事者の一方(売主)が、ある財産権を相手方に移転することを約束し、これに対し、買主が代金を支払うことを約束する契約をいいます。

 ⇒お店での買物全般

根拠条文:民法555条 
 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 ③ 交換(こうかん)

 交換とは、当事者が互いに金銭以外の財産権を移転する契約をいいます。

 ⇒いわゆる物々交換のことです。

根拠条文:民法586条1項
 交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。

 ④ 消費貸借(しょうひたいしゃく)

 消費貸借とは、金銭その他の代替物を借りて、後にこれと同種・同等・同量の物を返還する契約をいいます。

 ⇒消費者金融や銀行からの借金

根拠条文:民法587条
 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

 ⑤ 使用貸借(しようたいしゃく)

 使用貸借とは、当事者の一方(貸主)が、相手方(借主)に、無償で貸すことにして、目的物を引き渡し、借主が使用収益した後に返還する契約をいいます。

 ⇒友人から漫画やゲームを借りる、知人から土地を借りる。 

根拠条文:民法593条
 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑥ 賃貸借(ちんたいしゃく)

 賃貸借とは、当事者の一方(賃貸人)が、相手方(賃借人)にある物を使用収益させ、これに対し賃借人が使用収益の対価を支払う(有償)契約をいいます。

 ⇒賃貸アパート・マンションを借りる、レンタカー、DVDのレンタルなど。

 ※ 賃貸借と使用貸借との大きな違いは、有償か、無償かです。

根拠条文:民法601条
 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑦ 雇用(こよう)

 雇用とは、当事者の一方が、相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれに報酬を与えることを約する内容の契約をいいます。

 ※ 多くの人の勤務会社との間の雇用関係については、労働法が適用されます。

根拠条文:民法623条
 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑧ 請負(うけおい)

 請負とは、当事者の一方が、ある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対し、報酬を与えることを約束する契約をいいます。

 ⇒家の建築やリフォーム、洋服や部屋のクリーニング、自動車の修理

根拠条文:民法632条
 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑨ 委任(いにん)

 委任とは、当事者の一方が、法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することを内容とする契約をいいます。

 ⇒弁護士に示談交渉を依頼する。

 ※ 請負との違いは、結果が求めらているかどうかです。請負は、仕事の完成を目的にしているので、結果を出すのが前提になっている一方、委任は、仕事の完成すなわち結果を出すことは前提になっていません。

根拠条文:民法643条
 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

 ⑩ 寄託(きたく)

 寄託とは、当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために保管することを約束して、ある物を受け取ることによって成立する契約をいいます。

 ⇒知人に物やペットを預かってもらう。

根拠条文:民法657条
 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

 ⑪ 組合(くみあい)

 組合とは、数人の当事者がそれぞれ出資をし、共同の事業を営むことを約する契約をいいます。

根拠条文:民法667条1項
 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑫ 終身定期金(しゅうしんていいききん)

 終身定期金とは、ある人が自己、相手方または第3者の死亡するまで、相手方または第3者に定期に金銭その他の代替物を給付する契約をいいます。

 ⇒親が死ぬまで親に生活費を送る

 ※ 現在は、殆ど利用されいません。

根拠条文:民法689条
 終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生ずる。

 ⑬ 和解(わかい)

 和解とは、当事者が互いに譲歩し、その間に存する争いをやめることを約束する契約をいいます。

 ⇒交通事故など損害賠償請求事件の示談。

根拠条文:民法695条
 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

 以上が民法に規定されている契約の種類です。上記に規定されている以外の契約をすることも出来ます。民法に規定されていない契約は、非典型契約(ひてんけいけいやく)もしくは無名契約(むめいけいやく)と呼ばれています。

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