成功報酬の意味と注意すべき点について

 弁護士費用の支払いは、契約時にきちんと説明を受けていても、後々トラブルの発生しやすい問題です。

 これは、一般の人にとって、弁護士費用の仕組みが特殊で馴染みのないものだからだと思います。

 そこで、今回は、成功報酬の意味と、注意すべき点について、弁護士が、できるだけわかりやすく説明します。

目次

1 成功報酬とは? 算定方法について

 成功報酬とは、事件が終了した際に、成功の度合いに応じて支払う費用のことです。

 100%あなたの要求が通らなくても、一部でもあなたの要求が達成されれば、その度合いに応じて、成功報酬は発生します。後々トラブルにならないように、成功の意味について、契約時に弁護士とよく話し合っておきましょう。

 成功報酬の一般的な算定方法について、以下解説します。

⑴ 金銭請求の場合

 金銭請求の場合が一番分かり易いので、まずは金銭請求の場合の成功報酬の考え方について説明します。

 【相手方に損害賠償請求する側の場合】

 報酬金の計算方法は、相手から回収した金額の何%というような計算の仕方で決まることが一般的です。

 回収金額の10~20%が一般的な相場かと思います。

 例えば、回収金額の10%の成功報酬で弁護士と契約をした場合について、相手方に1000万円の損害賠償請求をし、最終的に相手方との間で回収金額500万円で解決した事例があるとします。
 この場合の報酬の額は、回収金500万円の10%の50万円が報酬になります。

 【相手方から損害賠償請求される側の場合】

 では反対に、相手から金銭を請求されている側の場合はどうでしょうか?

 この場合は、相手方から請求された金額と実際に相手方に支払う額の差を基準にして減額分の何%という計算方法が一般的です。 

 減額した分の10%~20%が一般的な相場かと思います。

 例えば、先ほどと同じく10%の成功報酬での弁護士と契約をした場合について、相手方から1000万円の損害賠償請求をされているところ、最終的に相手に600万円を支払う内容で解決した事例があるとします。
 この場合の報酬の額は、減額した額である400万円(計算式:1000万円-600万円)の10%の40万円が報酬になります。

 あなたは、結局、相手方の言い分を吞んで600万円も支払うのだから、全然成功とはいえないと考えるかもしれません。しかし、弁護士との契約時に、減額分の10%を報酬にしますと契約していたら、支払わなくてはならないのです。
 この点については、別記事で解説していますので、そちらも参照ください。

⑵ 金銭請求以外の場合

 次に、金銭請求以外の場合について、成功報酬の考え方について説明します。

 土地の明け渡しや、離婚など相手方にお金を請求する以外の結果を求める事案の場合、成功報酬は固定額で契約する場合が多いです。

 例えば、土地の明け渡しが実現したら30万円とか、離婚調停で離婚できたら30万円とか、訴訟で離婚出来たら40万円などのように、目的を達成したことを条件に固定の金額を成功報酬として決める場合が多いです。

2 注意すべき点

 金銭請求のうち相手方に対し支払いを請求する側の場合について、注意すべき点について説明します。

 上記の例では、実際に回収した金額を前提に報酬金額を決めていました。

 しかし、裁判で相手方に1000万円の支払いを命じる判決が出た場合で、相手方に現金がないなどの理由で現実に支払いが出来ない場合に、報酬はどうなるのでしょうか?

 この場合でも判決で決定した1000万円の10%の100万円を成功報酬として請求される場合があります。これは、弁護士と締結した契約の内容によって異なります

 実際に回収した場合に報酬が発生するのか、それとも回収出来なくても支払義務が確定すれば(債務名義を取得すれば)報酬は発生するのか、契約の際に弁護士に確認しておく必要があります。

 後々依頼した弁護士とトラブルになるのを防ぐためには、現実に回収出来た場合に報酬が発生する内容の契約をするのが無難です。

 ちなみに、着手金0円の完全成功報酬型で、かつ回収した金額の場合にだけ成功報酬が発生する内容の契約は、あり得るのでしょうか?

 これは、ごく一部の相手方が確実に支払い能力があると予想できるような事案(例えば、相手方が資産家であるとか、交通事故で相手方が任意保険に加入している場合)に限れば、あり得ます。

 誰が見ても取りっぱぐれのない勝ち筋の事件については、弁護士も依頼者に好条件で依頼を引き受けてくれるでしょう。  

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