自己破産のメリットと注意すべき点 税金は免責されない?ギャンブルで浪費した場合はどうなる?

 多額の借金の返済をかかえてしまい、どうしようもない場合、自己破産をすすめる記事や番組などを目にすることも多い状況です。

 そこで、今回は、みなさんが一度は耳にしたことのある自己破産について、そのメリットや注意すべき点について解説していきます。

目次

自己破産するメリット

 自己破産する唯一にして最大のメリットは、税金等一部を除いて、債務の返済をしなくてよくなることです。

 債務の返済をしなくてよくなることを免責(めんせき)といいます。

 免責の効力は、裁判所が許可する事で発生します。

 世の中で自己破産を申し立てている人のほぼ全ては、この免責の効果を期待しているのです

 しかし、免責許可を得るには、いくつかの条件があるのです。この条件を満たさない場合、自己破産をしたとしても、債務を弁済しなければならなくなってしまいます。

 以下、債務が免責されない場合について、説明します。

免責の許可がされない場合

免責不許可自由とは

 自己破産の申し立てをすれば、どんな場合でも、免責の許可を受けられるわけではありません。

 一定の事由がある場合には、法律で免責を許可しないことになっています。

 これを「免責不許可事由」(めんせきふきょかじゆう)と言います。

 免責不許可事由があると、自己破産をしても、債務(借金)の免責を受けられず、自己破産のメリットがなくなってしまいます。

免責不許可事由11項目

 破産法が定めている免責不許可事由は、以下の11項目です。

① 債権者を害する目的で、財産を隠す、壊す等の行為をすること

② 破産手続の開始を遅延させる目的で、出資法の上限金利を超える借金をしたり、信用取引で得た商品を安く換金する等の行為をすること

③ 破産者が、借金の全額返済が出来ない状況下において、特定の債権者に対し、特定の債権者に特別の利益を与える目的や他の債権者を害する目的で、担保設定や弁済などをすること

④ 浪費やギャンブルによって、著しく財産を減少させたり、多額の借金をすること

⑤ 破産開始手続開始の申立てがあった日の1年前から破産手続開始の決定があった日までの間、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、その事実がないと信じさせるため、詐術(さじゅつ)を用いて信用取引により財産を取得すること

⑥ 業務、財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅(いんめつ)し、偽造(ぎぞう)し、変造(へんぞう)すること

⑦ 虚偽の債権者名簿を提出すること

⑧ 裁判所の行う調査において、説明拒否や、虚偽の説明をすること

⑨ 不正の手段で、破産管財人などの業務を妨害すること

⑩ 過去に免責許可決定されており、7年が経過していないこと 

 ⇒過去の⑴自己破産の免責許可決定、⑵個人再生の給与所得者等再生の再生計画認可決定、⑶個人再生のハードシップ免責決定の確定日から今回の免責許可申し立て日までに7年が経過していないこと

⑪ 破産法に定める義務違反をしたこと

 ⇒説明義務、重要財産開示義務、調査協力義務など。

根拠条文:破産法252条1項

252条1項(免責許可の決定の要件等)
 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
 浪費又は博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。
 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
   免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
   民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
  民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

裁量による免責

 上記の免責不許可事由がある場合でも、裁判所が、破産申し立てをすることになった経緯など様々な事情を考慮して、免責許可することもできます。

 これを「裁量免責」(さいりょうめんせき)と言います。

 実務上、裁量免責が認められるケースは少なくありません。

根拠条文:破産法252条2項
 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

そもそも免責できない債務

非免責債権とは

 裁判所の免責許可が出た場合でも、免責の効力が及ばず、返済しなければならない債務があります。

 このようにたとえ自己破産をしても、法律で免責できないとされている債権のことを、「非免責債権」(ひめんせきさいけん)と言います。

 破産法が定める非免責債権は、以下の7項目です。以下の7項目の債務については、自己破産をしたとしても、返済していかなければなりません。

法が定める非免責債権7項目

 租税などの請求権

  固定資産税、所得税、市県民税などの税金は、完済しなければなりません。

金融機関からの借入がなく、税金の滞納だけ膨れ上がってしまった場合、残念ながら現在の法律であなたを救う方法はありません。市役所などに相談に行って、支払を猶予してもらうことを検討しましょう。

② 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

 ここでいう「悪意」とは、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な意思とする考え方が有力です。

③ 破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

 人の生命・身体という法益の重要性の観点から、上記②の場合とは異なり、重過失の場合にも免責されません。
 例えば、無免許・飲酒運転をして赤信号を無視したような交通事故の事案では、運転者には重過失が認定され、被害者に対する損害賠償債務は非免責債権になる可能性が高いです。

④ 親族間の請求権

 ⇒養育費、婚姻費用、扶養義務などの契約に基づくものです。

⑤ 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権、預り金返還請求権

 「使用人」とは、使用者(雇用主)に使われる立場の人、すなわち被用者、労働者のことです。

 使用者(雇用主)が自己破産をしても、使用人の請求権(給料、報酬など)は、免責されず、支払う義務が残ります。
 また、使用者が、使用人から預かっていたお金も、免責されず、返還しなければなりません。

⑥ 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権

 破産者が、知っているのにあえて債権者として名簿に記載しなかった債権者に対しては、免責されません。
 ただし、記載されなかった債権者が、独自に破産手続開始決定があることを知っていた場合は、免責されます。

⑦ 罰金などの請求権

 ⇒罰金、科料(かりょう)、刑事訴訟費用、追徴金(ついちょうきん)、過料(かりょう)などです。

根拠条文:破産法253条1項

253条1項(免責許可の決定の効力等)
 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
 次に掲げる義務に係る請求権
  民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
   民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
   民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
   民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
 ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
 罰金等の請求権

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