親権って何? 親権を争う前にきちんと知っておきたい親権の中身。

離婚する際、子の親権の争いになることがあります。

では、親権とは実際どのようなものか、きちんと説明できますか?

そこで、今回は、知っているようであいまいな親権と呼ばれている権利義務の内容について、解説します。

目次

親権の具体的な内容

親権の内容は、民法で規定されています。

親権とは、親の子に対する養育監護の権利義務の総称をいいます。

親権に服するのは、未成年の子です(民法818条)。

したがって、親権に服するのは20歳未満の子です。

令和4年4月1日以降からは、改正民法4条が施行されて、18歳から成年として扱われますので、親権に服するのは、18歳未満の子になります。

1 身上監護権(民法820条)

  親権者は、子の利益のために、子の監護・教育をする権利を有するとともに義務を負います。

根拠条文:民法820条(監護及び教育の権利義務)
 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

2 居所指定権(民法821条)

  子は、親権者が指定した場所に居所を定めなければなりません。

根拠条文:民法821条(居所の指定)
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

3 懲戒権(民法822条)

  親権者は、看護教育のために必要な範囲で、子を懲戒し、家庭裁判所の許可を得て懲戒場に入れることが出来ます。

なお、現在、日本国内に懲戒場はありません。

 合理的な範囲を超えて、懲戒をした場合、虐待に当たります。

 その場合、親権喪失や親権停止の原因になります。

 また、子に対する、傷害罪、暴行罪、逮捕監禁罪などの犯罪になる場合もあります。

根拠条文:民法822条(懲戒)
 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

4 職業許可権(民法823条)

  子は、親権者の許可が無ければ、職業を営むことができません。

  自分で営業をする場合の他、雇われの場合も含みます。

  例えば、高校生がアルバイトする場合に、親権者の許可が必要です。

根拠条文:民法823条(職業の許可)
 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

5 財産管理権(民法824条)

  親権者は、子の財産を管理する権限があります。

  ただし、親と子の利害が対立する場合は、除きます(民法826条)。

  例えば、父親が交通事故でなくなった場合に、父親の相続人の母親と子が遺産分割協議をする場合、母親は、子の財産管理をすることは出来ません。

  このように親と子の利害が対立す場合は、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。

根拠条文:民法824条(財産の管理及び代表)
 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

民法826条(利益相反行為)
 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

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