交通事故の加害者に成立する犯罪一覧 場合によっては刑務所に入ることもあります

 交通事故を起こして、相手方にけがを負わせてしまった場合、人身事故として警察に扱われると、刑事処分される可能性があります。

 刑事処分とは、罰金や懲役刑と言いった、刑罰を与える処分のことです。

 刑事処分以外に、減点や、免許停止等の行政処分も下される場合があります。

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刑事処分以外に、減点や、免許停止等の行政処分も下される場合があります。

 交通事故の加害者について問題になりそうな犯罪は、以下のものになります。

目次

危険運転致死傷罪(きけんうんてんちししょうざい)    

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 (以下「自動車運転処罰法」といいます)2条、3条に規定されています。   

危険運転致死傷罪は、飲酒運転やスピード違反、赤信号無視等の悪質な運転行為により、人を死傷させた場合に適用されます。    

刑罰は、同法2条の罪の場合、人にけがを負わせた場合15年以下の懲役刑、死亡させた場合は、1年以上の有期懲役刑になります。  

同法3条の罪の場合、人にけがを負わせた場合12年以下の懲役刑、死亡させた場合は、15年以下の懲役刑になります。  

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有期懲役刑は、刑法12条で、1月以上20年以下と規定されています。

 したがって、上記の15年以下の懲役の場合、1月~15年の間の範囲の刑が、1年以上の懲役の場合は、1年~20年の間の範囲の刑が下される可能性があります。

2条(危険運転致死傷)
 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
 二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
   その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
   人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
   高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
  赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
   通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
3条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

過失運転致死傷罪(かしつうんてんちししょうざい)

 自動車運転処罰法5条に規定されています。

 過失運転致死傷罪は、運転中の不注意によって、事故を起こしその結果、人を死傷させた場合に適用されます。

 刑罰は、7年以下の懲役刑もしくは禁錮、または100万円以下の罰金になります。 

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懲役刑と禁錮刑の違いは、刑務作業(労働)の義務があるかどうかです。

懲役刑は、刑務作業が義務付けられていますが、禁錮刑は、刑務作業が義務付けられていません。

禁錮刑でも、希望すれば労働を行うことは出来ます。

5条(過失運転致死傷)
 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

保護責任者遺棄罪(ほごせきにんしゃいきざい)、保護責任者遺棄致死傷罪(ほごせきにんしゃいきちししょうざい)

 刑法218条で保護責任者遺棄罪が、刑法219条で保護責任者遺棄致死傷罪が規定されています。

 保護責任者遺棄致死傷罪は、人通りが少ない場所で、歩行者に衝突し、けがを負わせた結果、相手方が意識不明状態になったような場合に、救護措置を取らずに放置して現場を立ち去ると成立します。

 刑罰は、人にけがを負わせた場合3月以上15年以下の懲役刑、死亡させた場合は、3年以上の有期懲役刑になります。

 

218条(保護責任者遺棄等)
 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

219条(遺棄等致死傷)
 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

204条(傷害)
 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

205条(傷害致死)
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

不保護罪

 不保護罪は、道路交通法72条1項で規定されています。

 人身事故を起こした際、加害車両の運転者などは、直ちに車両を停止し、負傷者を救護し、危険を防止する措置を講じなければならず、かかる義務に違反すると不保護罪が成立します。

 刑罰は、死傷が運転者の運転に起因するものである場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金、それ以外の場合は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

72条(交通事故の場合の措置)
 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

117条 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

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